インタビュー

町内読み聞かせグループ「おはなしおばさん」
「令和3年度とくしま子育て大賞」(チーム育児シニア部門)を受賞されました。

「とくしま子育て大賞」(主催:はぐくみ徳島)は、次代の社会を担う子どもたちが健やかに生まれ育つ環境を社会全体で支援する機運を醸成するため、(チーム育児部門)(チーム育児応援部門)(チーム育児シニア部門)の3部門において毎年、優秀団体を表彰しています。

今回、松茂町で読み聞かせ活動を精力的に行っているグループ「おはなしおばさん」が、(チーム育児シニア部門)で表彰をうけました。2021年10月31日(日)に行われた「とくしま子育て大賞表彰式」では、飯泉嘉門徳島県知事から賞状が贈呈されました。

読み聞かせグループ「おはなしおばさん」を代表して、山元さんにロングインタビュー!

「おはなしおばさん」発足のきっかけから現在までのことについて教えてください!


「おはなしおばさん」の歴史は長く、平成6年から現在まで、約27年間続いています。発足のきっかけは、私が松茂幼稚園の園長として働いていた時代に、国から「幼稚園教育のあり方について」という研究をもらい、その研究の一環で“地域の教育力を導入する”という目的の一つとして「おはなしおばさん」がはじまりました。

その頃は、地域の人とふれあえるような“開かれた学校・幼稚園”がまだ言われ始めた頃でした。今まで、幼稚園なら幼稚園の中だけのコミュニティーだったのに対して、「地域にはいろんな活動をしている人がいるんだから、幼稚園教育に導入させて活性化させたい!」というねらいがありました。

そこで、私と当時の喜来幼稚園の先生で、地域の人材を学校教育に取り込むという目的から、元々月に2回、本が好きで子どもへの読み聞かせに来てくれていた3名の方を「おはなしおばさん」と位置づけて活動がはじまりました。それから3名の「おはなしおばさん」は、ずっと読み聞かせに来てくれていたのですが、どうしても年齢を増すにつれて、活動が困難になってきてしまいました。

平成19年、私が幼稚園教諭を退職したことをきっかけに『自分ひとりになってもいいから「おはなしおばさん」を続けていかなければならない』という強い思いを持って、「おはなしおばさん」の活動を引き継ぎました。それから、地域の知り合いや交流がある人に声をかけ、だんだんと仲間が増えていき、現在の8名になりました。

現在の主な活動について教えてください!


町内の保育園(所)・幼稚園・小学校、図書館へ月1回、絵本の読み聞かせと松茂町地域子育て支援センターに年1回へ訪れて、子どもたちとの触れ合い活動を主に行っています。

また、幼稚園などでお餅つきが行われたら、お手伝いとして出向きます。松茂町の特産品であるさつまいもを使ったお餅を作って子どもやお母さんたちに振る舞うこともあります。

松茂町は県外から引っ越してくるご家族も多く、町の特産品を使ったレシピなどをお母さんに教えると『知らなかった!』と喜んでくれます。そのレシピを家庭に持ち帰って家で子どもたちに作ってくれているみたいで、食育にもつながっていることが私たちも嬉しいです。

また、「おはなしおばさん」のメンバーの中には、幼稚園や保育園の先生をしていた方をはじめ、お茶の先生や管理栄養士さんもいて、そういったメンバーの素晴らしい経験を生かして子どもたちへ色んなことを体験してもらっています。

その中でも、お茶の先生が教える本格的なお茶会では、3歳児や4歳児の保育園児でも、(お茶会の)張り詰めた空気の中で”今自分が何をするべきなのか”が分かってくるみたいで。小さい子でも“ここで走り回ったらあかん”とか“ぎゃーぎゃー騒いだらあかん”と思わせるお茶のチカラってすごいと思う!だからこそ、保育園や幼稚園で行うことに意味があると思うんですよ。

活動を続けていてうれしかったこと、また苦労したことを教えてください!


うれしかったことは、読み聞かせで学校などを訪れていることにより「読み聞かせのおばさん」として子どもたちに覚えてもらえることです。近所のスーパーなどで買い物しているときに『おばちゃーん!』とうれしそうに近寄ってきてくれて『おばちゃん、おはなし、ありがとう』と言ってくれたことが、何よりうれしかった。

日頃、5・6歳の子どもたちに話しかけてもらえることも少ないから、とても新鮮でうれしい。他の「おはなしおばさん」のメンバーもそういった体験をしているみたいですよ。地域の中で、知っている大人がたくさんいるっていうのは、子どもにとっても安全や非行防止につながるんじゃないかな。やっぱり、地域の人が学校に入って交流することは大切だと思う。
子どものにぎやかな声は決して雑音なんかじゃない。“生きた声”だから聞くとこっちも元気をもらえます。

反対に苦労したことは、インフルエンザの時期や今回の新型コロナウイルス感染症が流行しているときなどは、読み聞かせの訪問活動が制限されてしまいます。そんなときは、訪問先の園長先生などと密に相談をして最大限できることをやって、現場の先生たちの邪魔にならないように、押しかけにならないように気をつけて活動しています。

子どもへの読み聞かせをするうえで気をつけていることを教えてください!


読み聞かせをはじめると「おばちゃん、これよんでー」と子どもが本を選んでもってきます。まずは、子どもの意見を尊重してその本を読んであげて、大人が「これがいいから」と決めた本しか読まないってことはしないようにしています。

また、膝にのってきたい子がいたらそのまま受け止めることを大切にしています。読み聞かせの時間、1時間のうち30分くらいは子どもの好きなようにしてあげて、そして、あとの30分は子どもにぜひ読んで欲しい本や意図して選んだ絵本を読みきかせします。『じゃあ、いまからはおばちゃんが大好きな本を読むね』と言うと、子どもが“今度は聞く番だ”と思って絵本に集中してくれるのよ。

「おはなしおばさん」のメンバーは、前職の関係もあり子どもに対しての接し方はベテランばかりの濃いメンバーが集まっていて、本当に良いメンバーに恵まれたなあと思っています。

子どもがもっとたくさん本を読むようになるために必要なことは何だと思いますか?


ある日、私が病院の待合室で待っていると、小さい子どもが病院に置いてある絵本には見向きもせずに、ずっとお母さんのスマホばかり触っていたんです。私は、絵本は想像力や考える力につながるから、小さい頃からぜひたくさん読んでほしいのに・・・と思いました。

現在、図書館では「ブックスタート」というものがあります。生まれた子どもの健診の時に町から2冊本を渡すという制度です。「ブックスタート」を上手に活用して、ただ本をプレゼントするだけではなく、“この本は読み聞かせてあげたら子どもにとってこんな効果があるんだよ”とお母さんにお話してあげて、本から色んなことを学んでもらえるような渡し方の工夫を図書館でしてもらえたらいいなあと思います。

そして親御さんには、赤ちゃんが生まれてブックスタートの本をもらうときに、ぜひ記念に図書カードを作ってもらいたい。その子どもがいつでも図書館に来られる環境づくりをしてほしいですね。

読み聞かせの活動で、今後やっていきたいことやチャレンジしてみたいことを教えてください!


せっかく平成6年から今まで活動を続けてこられているから、もっとたくさんの人に活動を知ってもらい、参加してもらい、途切れることなくずっと続けていけることが今の一番の願いです。そして、人数が増えることによってできることも増えると思うので、私たちはいつでも活動に興味のある方を待っています。

最後に松茂町で子育て中のパパ・ママへ向けてひとことお願いします!


子どもは自分たちの宝でもあるけど、社会の宝であるということはいつも思っています。最近、虐待などの事件も全国的に多発していて、どうにか救える手はなかったのか、今もどこかでそんな目にあっている子がいるかと思うと辛くなります。

余裕がないんかもねぇ。でもね、子育てに対していつも気を張っていなくてもいいんよ。死んだら何にもならない。“こうしなきゃいけない”なんてないんだから、気長に子どもに接してあげてください。昔の言葉で『子供叱るな来た道だもの 年寄り笑うな行く道だもの』とあるように自分も昔、子どもだったのだから、どうしても厳しいことは多いと思うけど、もっとゆったりぃ~と気持ちに余裕をもって過ごしてほしいです。

昔に比べて今は「助けて」というSOSを言えることが手の届くところにいっぱいある。ネットにしても電話にしても。ひとりで抱え込むことが一番だめです。気軽にそういったツールを活用して悩まないでほしい。

松茂町にも子育て支援センターがあります。
子どもと一対一に向き合いすぎたら誰だって疲れちゃうので、大いに活用していってください。

「おはなしおばさん」から記事を読まれている皆様へメッセージ

ボランティア活動は今、高齢化と固定化が課題となっています。今回、「おはなしおばさん」を表彰していただいて、紹介してもらうことによって多くの人がボランティアに興味を持ち、参加してくださる。
それが一番嬉しいことです。

「おはなしおばさん」の仲間になってくれる人、一緒に楽しく活動してくれる方をいつでもお待ちしています!!
経験をお持ち出ない方でも子どもが好きな気持ちさえあれば大歓迎です♫

気になる方は、図書館へお問い合わせいただくか、月に1回行っている図書館での読み聞かせを見学しにきてください。

お問い合わせ先

松茂町立図書館  TEL:088‐699‐8722
表彰を祝して!! みんなで記念撮影

優しくてとってもチャーミングな、
おはなしおばさんの皆さん
この度は、本当におめでとうございました。

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